■離婚の前に離婚後の事を考えておく
いざ離婚を決意したら、その後の生活をどのようにするか、周到な準備が必要です。
- 住む場所は決まっていますか?
- 今後の生活費は目どはたっていますか?
- 妻が未成年の子供を引き取る場合は、子供の養育にかかる経済的な負担も大きく、今以上にのしかかってくると考えてください。
- 夫が未成年の子供を引き取った場合でも、今までのように仕事だけをしておけばよかった時とは違い、やはり働きながらの子育ては想像以上に大変です。
- このように離婚後の生活は不安がいっぱいです。
- まだまだ世間の目も厳しく、あなたのことを理解してくれる人ばかりでないことも覚悟してください。
*離婚後の生活を楽しむことも考えないと、苦労して離婚をした意味がありません。今の結婚生活が本当に不幸で、離婚をしたら今よりも幸せな生活が送れると確信しているのでしたら、離婚後の生活を明るいものにするためにも、離婚に関する法的知識と、行政からうけられる優遇処置などをしっかり確認しましょう。
★あなたが受けられる公的支援について
- 離婚をした後、ひとり親で子育てと生計を一人で担うのは大変な事です。
- 母子家庭なら生活費、父子家庭なら家事、育児の事などが不安になると思います。
- 特に母子世帯の生活実態は厳しい面もあり、経済的に困る可能性も出てきます。
- 各自治体では、そのようなひとり親家庭をサポートする支援・手当を行っています。
- 母子家庭なら誰でも受けられる制度や、お子さんがいれば受けられる制度、所得制限がある制度と、いろいろありますので、あなたの経済力、環境などきちんと把握して、その制度を有効に利用しましょう。
*ここでは一般的な優遇制度を掲載しますが、都道府県・市区町村によって公的支援は様々です。所得制限があるものや、各自治体によって内容・種類が異なります。
★児童扶養手当について
- 受給資格は18歳未満(一定の障害にある場合は20歳未満)の子供を扶養している母子家庭です。(一部自治体では父子家庭でも支給されています。)
- 児童を養育している方に支給し児童の福祉の増進を図る制度です。
- 但し、老齢福祉年金以外の公的年金を受けている方は支給されません。
*別居でも父親から生活費の支払いが1年以上ない(父に1年以上遺棄されている児童)場合には、支給の対象となります。
★児童手当について
- 受給資格は18歳未満(一定の障害にある場合は20歳未満)の子供を扶養している母子家庭です。(一部自治体では父子家庭でも支給されています。)
- 児童を養育している方に支給し児童の福祉の増進を図る制度です。
- 老齢福祉年金以外の公的年金を受けている方は支給されません。
*別居でも父親から生活費の支払いが1年以上ない(父に1年以上遺棄されている児童)場合、支給の対象となります。
→お問い合わせはお住まいの区市町村の担当窓口へ
★その他の手当
都道府県・市区町村によって異なる児童手当があります。住民登録をしている市区町村の窓口に問い合わせてみましょう。
- 遺児福祉手当
受給資格は父母、又は父母のうちいずれか一方を失った18歳以下の児童を養育している母子・父子家庭に支給される手当です。
- 児童育成手当
受給資格は、18歳未満の子供を扶養しており、父母、又は父母のうちいずれかが重度の障害を持っていたり、離婚、死別、行方不明など扶養者に何らかの経済的援助が必要な家庭に支給される手当です
★金銭面での支援について
◆ひとり親家庭の医療費助成制度
- 受給資格は18歳未満(一定の障害にある場合は20歳未満)の子供を扶養しており、医療保険に加入している母子・父子家庭。
- 一定の所得限度額に満たないひとり親家庭の母又は父及びその児童等に対し、医療費の一部を補助することにより、保健の向上と生活の安定に寄与することなどを目的とした制度です。
→お問い合わせはお住まいの区市町村の窓口へ
★母子・寡婦福祉資金貸付について
◆母子家庭および寡婦の方の生活の安定と児童の健全な育成を図るために、必要な資金の貸付をしています。(所得制限があります)
貸付を受けられる人
(1)母子福祉資金
- 母子家庭の母で20歳未満の児童を扶養している人
- 父母のいない20歳未満の児童(児童に対する貸付のみ)
(2)寡婦福祉資金
- 寡婦
-
40歳以上の配偶者のいない女子であって、母子家庭の母及び寡婦以外の者貸付金の種類は事情開始資金、就職支度金、技能習得資金、療養資金、住宅資金、修学資金、就学支度など生活資金や転宅資金として貸し付けられます。児童を対象にした修学資金や就学支度資金、修業資金就職支度資金等が必要な人は母親が借受人となり、対象児童は連帯借受人となります。
→お問い合わせはお住まいの区市町村の窓口へ
★生活保護について
- 生活保護は、生活に困っている人に対する最終的救済制度というべきものです。
- 生活に困窮する世帯に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とします。
- 生活保護には、生活・住宅・教育・介護・医療・出産・生業・葬祭の8種類があり、必要に応じて扶助を受けることができます。
- このため、生活保護を受けるためには、その人(世帯)が生活維持のために次のような努力をすることが必要になります。
- 働ける人には働いてもらう。
- 資産価値(土地、家屋、預貯金、貴金属、自動車など処分価値のあるもの)のあるものは処分(売却・賃貸)してもらう。
- 援助できる身内(親、兄弟姉妹、子供など)がいればその人に援助を求めてもらう。
- 利用できる制度(年金や児童扶養手当など)があれば利用してもらう。
*これらの要件を利活用してもなお生活を維持することができないときに、その困窮の程度に応じて生活保護費の支給や医療扶助などの給付が受けられます。
→お問い合わせはお住まいの区市町村の窓口へ
★人的支援について
◆ファミリー・サポート・センター
- ファミリー・サポート・センターとは、「育児・介護の援助を受けたい方」と「育児・介護の援助をしたい方」(有償ボランティア)を会員として組織し、地域における育児・介護を支援する相互援助の会員組織です。
- 育児ファミリー・サポート・センターで扱う相互援助活動とは?
[育児]
・保育施設までの送迎を行うこと
・保育施設の保育開始前や終了後、子供を預かること
・学校の放課後または学童保育終了後、子供を預かること
・学校の夏休みなどに子供を預かること
・保護者等の病気や急用等の場合に子供を預かること
・冠婚葬祭や他の子供の学校行事の際、子供を預かること
・買い物等外出の際、子供を預かること など
→お問い合わせはお住まいの区市町村のファミリーサポートセンター各支部へ
*未だ設立に至っていない地域もありますので、お住まいの区市町村にファミリー・サポート・センターが有るか否かは、(財)女性労働協会のホームページでご確認ください。
★ひとり親家庭生活支援事業について
- 母子・父子家庭等のひとり親家庭で、保護者が病気やケガ等で日常生活に支障が生じている場合、家庭生活支援員を派遣し、子どもの保育を始めとした食事・掃除・買い物など日常生活の支援を行う制度です。
→お問い合わせはお住まいの区市町村の社会福祉協議会窓口へ
★住居の支援について
◆母子生活支援施設
- 18歳未満の子供を養育している母子家庭の母をが、生活上も様々な問題のため、子供の養育が十分にできない場合、子供とともに保護し、支援する施設です。
- 母と子供が目標を持って自立できるまでの間、専門職員が生活・就労・子育ての養育相談等のサポートをしながら、総合的に問題解決の相談及び助言を行います。
→お問い合わせはお住まいの区市町村の窓口へ
★優遇制度について
◆JR通勤定期の特別割引
- 児童扶養手当を受けている世帯の方が、JRを利用して通勤されている場合、通勤定期乗車券を3割引で購入できます。
- 駅窓口で通勤定期乗車券を購入する際、区保健福祉部で発行する購入証明書を提示します。
→お問い合わせはお住まいの区市町村の窓口へ
◆所得税・市府民税の軽減
- 母子家庭の母、又は寡婦の方は、申告により所得税、住民税の軽減措置が受けられます
- 年間の所得が一定額以下の場合は、扶養親族がなくても死別の母子家庭・寡婦に寡婦控除が適用されます。(一部自治体では父子家庭でも適用されます。)
- ただし,適用されるのは,次の条件を満たしている場合です。
・夫と死別,若しくは離婚後,婚姻していないこと。また,夫が生死不明であること。
・生計を一にする子ども(所得が基礎控除額以下)があること。
・本人が65才未満であること。
→お問い合わせはお住まいの区市町村の窓口へ
◆水道料金・下水道使用料の減免
8歳未満の子供を養育している父子・母子家庭で、児童扶養手当・生活保護を受けている世帯はお申し込みにより水道料金・下水道使用料を減免しています。
→お問い合わせはお住まいの区市町村の窓口へ
★相談・窓口
◆母子福祉センター
母子家庭・寡婦などに対して、無料・低額な料金で、母子家庭の各種相談にのったり、生活相談及び生業の指導を行う等、母子家庭・寡婦などの福祉のための便宜を総合的に供与する施設です。自立支援を目的として教室や講座を開催・交流を深める活動などを行っています。
→お問い合わせはお住まいの区市町村の窓口へ
その他市町村によって様々な父子・母子家庭への相談・支援があります。 お住まいの区市町村の社会福祉協議会へ尋ねてみてください。
- 母子生活相談員
母子生活相談員は、地域の母子家庭・寡婦の自立援助の相談相手となり、助言・指導を行い、母子自立支援員や関係機関に協力するとともに母子・寡婦家庭の福祉増進に努めます。
- 母子自立支援員
母子自立支援員は、母子家庭・寡婦に対し、生活一般の相談に応じ、経済・教育など諸問題の解決を助け、その自立に必要な指導にあたります。
- 婦人相談員
★住居の確保について
- 離婚して最初に問題になるのが住む場所の問題です。離婚をすれば夫婦のどちらかが現在住んでいる住居を出て、新しい住居を探すこととなります。
- 頼れる実家があるのなら、甘えて頼りましょう。多少居づらくとも経済的にもいろいろな支援が期待できますし、何よりも子供を見てくれる人がいるというのは幸せなことです。
- 財産分与として今まで住んでいた不動産を譲り受ける場合は、不動産の名義人が誰になっているか確認が必要です。
- 不動産を譲り受ける側が、名義変更をする場合には、必ず不動産の権利変動を登記してください。そうしないと完全な権利変動にはなりません。
- 名義変更の手続きにも費用がかかりますので、この登記費用をどちらが負担するか取り決めをした方がよいでしょう。権利書などの書類もきちんとしておくことが大切です。
- ローンがまだ残っている不動産を取得した場合、返済が大変です。諸事情を考慮して不動産をどのようにするか考えなければなりません。
- 妻が夫名義の賃貸住宅へ住み続ける場合は家主と契約書を作り直し、妻名義に変えるようにします。
- 新しくマンションやアパートを借りる場合、子供の転校の問題や、敷金・礼金などある程度の資金が必要となります。収入や子供への環境などを考慮して、なるべくたくさんの物件をあたってみましょう。
- 頼る実家や親族もなく、生活が困窮して住むところに困っている場合は、婦人相談所や母子生活支援保護施設に相談してみてください。
★生活費の確保について
- 女性にとって離婚後の生活がうまくいくかどうかは、経済的な自立ができるかどうかにかかっているともいえます。
- 離婚後の生活費は自分の手で生計を担うのが基本です。
- 例え別れた夫から慰謝料、養育費などがもらえても、全部貯金にまわせるくらいにしておくべきだと思います。
- 再就職は厳しい世の中ですが、専業主婦だった方はまず仕事先を見つけるべきです。
- 今まで夫婦共働きだった家庭でも、今までは相手方の収入を合わせて家計を維持していたのが、今後はあなた1人の収入で生計を立てなければなりません。
- しかし、まだまだ女性が働ける職種の選択の幅も狭く、経済的にも厳しいのが現状です。
- まずは、市区町村の窓口や福祉事務所に公的扶助の受給資格などをお尋ねください。
◆子供の問題
- 子供のいる家庭では、離婚でもっとも被害を受けるのは子供です。
- 必ずしも離婚が子供を不幸にするわけではありませんが、環境の変化が子供の精神上大きな影響を与えることは否めません。
- 離婚前、離婚後はあなた自身も忙しく大変な時期だと思いますが、そんな時だからこそ、積極的に子供とコミュニケーションをとりましょう。
- 子供の利益を最大限に考慮することが何よりも重要なのです。
- 子供の預け先もしっかり確認しておかなければなりません。
- 就職活動や仕事をしたくとも子供の預け先が決まらなければ、身動きがとれなくなるケースもあります。予め保育園などの募集時期を確認しておきましょう。
- なにより子供を引き取って育てる方は、世間から子供を守っていく強さが必要です。
★離婚後に必要な変更届け
- 夫婦が離婚をしたことにより、さまざまな変更手続きをしなければいけません。
- 行政から受けられる手当などによっては、変更が済んでいなければ受給できないものもありますので、早めに変更手続きを行ってください。
代表的なものは、
・国民健康保険や年金等の変更・加入
・住民票の変更
・不動産・賃貸物件の名義変更
・免許証の氏名変更
・光熱費等の変更
・郵便局や銀行などの各名義変更
・子供の転校手続き
★離婚後の再婚
- 離婚をしたら、新しい恋愛、再婚も自由です。
- 但し女性の場合は離婚後6ヶ月以内の再婚は認められていません。
- 再婚禁止期間を設けているのは、妊娠していた場合、前夫の子供なのか新しい夫の子供かがはっきりしないケースがあるためです。
- 前夫と再び結婚するとか、医師の診断で妊娠する可能性がない場合、離婚前から妊娠は発覚していて、出産後に再婚する場合などは、6ヶ月以内での再婚を認められることがあります。
- 男性の場合は、再婚できるまでの期間というのは特に設けておりません。
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